Freelogueブログ

フリーランスの見積もりの作り方 ── 目標実質時給から工数を積み上げる

見積もりは勘で出すものではありません。作業を分解し、見えない時間を上乗せし、目標実質時給を掛けて金額にする手順を、LP制作の計算例つきで解説します。見積もりと実績の答え合わせの方法もあわせて紹介します。

Freelogue編集部

見積もりを出すたびに悩みます。高すぎて断られるのも、安すぎて後悔するのも避けたい。それでも締め切りが迫れば、結局は「だいたいこのくらい」で金額を書いてしまいがちです。

勘で出した見積もりは、当たることもあれば大きく外れることもあります。外れたときに何が悪かったのかもわかりません。ここでは、目標とする実質時給から工数を積み上げて金額を組み立てる手順を紹介します。単価の決め方そのものでつまずいている場合は、先にフリーランスの単価設定でやりがちな失敗を読んでおくと、この記事の前提がつかみやすくなります。

見積もりは4つのステップで作る

やることは単純です。作業を分けて、時間を見積もり、見えない時間を足して、目標実質時給を掛ける。この順番で組むと、金額の根拠が自分でも説明できるようになります。

1. 作業を分解する

まず案件を作業単位に割ります。「LP制作一式」のままでは時間を見積もれません。ヒアリング、構成案、デザイン、コーディング、確認対応、公開作業のように、それぞれ独立して時間を測れる粒度まで分けます。ここで一覧にすると、「公開後の表示確認を忘れていた」といった抜けにも気づけます。

2. 作業ごとに工数を見積もる

分解した作業それぞれに時間を割り当てます。過去に似た作業をやっていれば、そのときの実績時間が最良の材料です。実績のない作業は多めに置いてかまいません。あとで答え合わせをして直していきます。

3. 見えない時間を上乗せする

ここが見積もりで最も抜けやすい部分です。手を動かしている時間の外側に、次のような時間が必ず発生します。

  • 打ち合わせ — キックオフ、中間確認、定例
  • 修正対応 — 提出後のフィードバック反映
  • 調査・学習 — 使ったことのないツールや仕様の確認
  • 確認待ちの段取り — 素材待ちで作業が細切れになるぶんのロス

これらを個別に読むのは難しいので、実作業の合計に対する上乗せ率として持っておくと扱いやすくなります。目安は実作業時間の20〜40%。自分の実績が出てきたら、その率に置き換えます。

4. 目標実質時給を掛けて金額にする

最後は掛け算です。

見積もり金額 = (実作業時間 + 見えない時間)× 目標実質時給

目標実質時給は、必要な年間売上を、実際に稼働できる年間時間で割って出します。求め方の手順は冒頭に挙げた記事にまとめています。

計算例:LP制作を見積もる

目標実質時給を5,000円としたLP制作の見積もりです。

作業見積もり工数
ヒアリング・要件整理4時間
構成案・ワイヤーフレーム6時間
デザイン16時間
コーディング20時間
表示確認・公開作業4時間
実作業の合計50時間

これに見えない時間を乗せます。

項目時間
実作業50時間
見えない時間(30%)15時間
合計65時間
目標実質時給5,000円
見積もり金額325,000円

実作業だけで金額を出していれば25万円です。差額の7.5万円が、打ち合わせや修正で消えていた分にあたります。見積もりが毎回きつく感じるなら、この上乗せを省いているのが原因かもしれません。

条件に書いておくこと

金額と同じくらい、条件の書き方が実質時給を左右します。最低限、次の2つは見積書に添えておきます。

修正回数の上限。「デザイン提出後の修正は2回まで、以降は1回あたり◯円」と書いておけば、修正が無限に続く展開を防げます。上限は相手を縛るためではなく、どこまでが見積もりの範囲かをお互いに確認するために決めます。

前提と範囲外の明示。「原稿と写真素材はご支給いただく前提」「公開後の運用・更新は範囲外」のように、含まないものを書きます。書いていないものは含まれると受け取られるのが普通です。

バッファは、見えない時間の上乗せで実質的に確保できています。別枠で「保険」を積むより、上乗せ率を実績で調整するほうが精度は上がります。

見積もりと実績の答え合わせ

見積もりの精度は、経験年数ではなく答え合わせの回数で上がります。案件が終わったら、見積もった工数と実際にかかった時間を並べてください。

作業見積もり実績
ヒアリング・要件整理4時間5時間+1時間
構成案・ワイヤーフレーム6時間6時間±0
デザイン16時間24時間+8時間
コーディング20時間18時間−2時間
表示確認・公開作業4時間6時間+2時間
見えない時間15時間22時間+7時間
合計65時間81時間+16時間

この案件の実質時給は325,000円 ÷ 81時間で約4,000円。目標の5,000円には届きませんでした。ただし外れた場所ははっきりしています。デザインと見えない時間です。次の見積もりではデザインを1.5倍で置き、上乗せ率を40%に上げれば、同じ失敗は繰り返しません。

答え合わせには、作業ごとの実績時間が要ります。いまの自分の実質時給を知らないなら、売上と作業時間を入れるだけの実質時給チェッカーで先に確かめておくと、目標を決めやすくなります。Freelogue なら案件をタスクに分けて(タスクを管理する)、開始と終了でタイマーを押すだけで(グローバルタイマーで作業を計測する)、見積もりの単位のまま実績と突き合わせられます。

よくある質問

Q. 見えない時間の上乗せ率は、何%にすればいいですか? A. 最初は30%を出発点にして、案件が終わるたびに実績で調整してください。打ち合わせの多い取引先や仕様の固まっていない案件は40%を超えることもあり、定型化した継続案件なら20%で足りることもあります。取引先ごとに率を分けて持つと精度が上がります。

Q. 見積もりに上乗せ分を書くと、相手に高いと思われませんか? A. 内訳として「打ち合わせ・修正対応:15時間」と書けば、水増しではなく必要な作業として伝わります。むしろ何にどれだけ時間がかかるかを示したほうが金額の根拠が明確になり、総額だけを上げるより説明もしやすくなります。

Q. 相手から先に予算を提示された場合はどう考えますか? A. 提示額を目標実質時給で割り、その金額で何時間使えるかを出します。予算30万円で目標が5,000円なら60時間です。この時間に収まる範囲へ作業を絞れるなら受けられますし、収まらないなら範囲を削る相談をします。予算に合わせて作業を詰め込むと、実質時給だけが下がります。

Q. 初めての種類の案件で、工数がまったく読めません。 A. 読めないことを前提に条件を組みます。多めに見積もったうえで、要件が固まっていない部分は「別途見積もり」として切り分けるのが安全です。最初の工程だけを小さく請け負って実績時間を測り、その数字をもとに本体を見積もる方法もあります。

関連記事