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フリーランスの「実質時給」とは?見かけの単価に隠れた本当の稼ぎを知る

案件の単価が高くても、手間がかかれば実際の時給は下がります。実質時給の計算方法、契約タイプ別の試算例、下げる要因と上げる方法、よくある誤解までまとめて解説します。

Freelogue編集部

「単価30万円の案件」と聞くと、条件が良さそうに感じます。しかし実際にどれだけ稼げたかは、その案件に何時間かけたかで決まります。ここで役立つのが実質時給という考え方です。

会社員の給料と違い、フリーランスの収入は「単価」という見かけの数字で語られがちです。けれども同じ単価でも、かかった時間しだいで手元に残る効率は大きく変わります。この記事では、実質時給の計算方法から、下げてしまう要因、そして上げるための具体策までを整理します。

実質時給の計算式

実質時給はとてもシンプルです。

実質時給 = 案件で得た売上 ÷ その案件にかけた累計作業時間

たとえば売上30万円の案件に120時間かかったなら、実質時給は2,500円です。同じ30万円でも60時間で終われば5,000円になります。単価が同じでも、実質時給は2倍変わります。

ポイントは「累計作業時間」に何を含めるかです。実際の制作時間だけでなく、打ち合わせ・メール・修正対応・請求などにかけた時間もすべて足します。ここを甘く見積もると、実質時給は実態より高く見えてしまいます。

具体例で見る:同じ単価でも実質時給は変わる

3つの案件を比べてみます。売上はどれも同じ30万円ですが、かかった時間が違います。

案件売上累計作業時間実質時給
A(修正が少ない)300,000円50時間6,000円
B(標準的)300,000円100時間3,000円
C(修正・打ち合わせが多い)300,000円150時間2,000円

単価だけを見れば3件は同じ「30万円の案件」です。しかし実質時給で見ると、AはCの3倍稼げています。もし手元の時間が限られているなら、Aのような案件を増やすほうが同じ労力で多く稼げる、という判断ができます。

単価の高さに惹かれてCばかり受けていると、忙しいのに収入が伸びない状態に陥りがちです。

契約タイプ別のリアルな試算例

契約のかたちが違う3つの案件を並べると、見かけの数字と実質時給のズレがよりはっきり見えます。制作以外の「打ち合わせ・修正・請求などの事務」も時間に含めて計算します。

案件契約売上制作打ち合わせ修正請求・事務累計時間実質時給
サイト制作固定報酬500,000円80時間12時間20時間3時間115時間約4,350円
サイト保守月額固定120,000円/月8時間4時間3時間1時間16時間7,500円
業務委託時給5,000円200,000円40時間3時間2時間45時間約4,440円

見かけの数字では、50万円のサイト制作がいちばん大きく、時給5,000円の業務委託が高効率に見えます。ところが実質時給で並べ替えると、順位は逆転します。

  • サイト制作は金額こそ大きいものの、打ち合わせと修正で32時間が乗り、実質時給は約4,350円まで下がります
  • サイト保守は1件あたりの金額は小さくても、作業が定型化していて時間が短く、実質時給は7,500円と最も高くなります。ただし月額固定の契約は稼働が増えても報酬が変わらないため、月額固定契約の実質時給の落とし穴にも注意が必要です
  • 業務委託は契約時給5,000円でも、請求できない打ち合わせや事務が5時間ぶん乗るため、実質では約4,440円に目減りします

つまり「大きな案件ほど稼げる」とは限りません。金額の派手さより、時間あたりの効率で見たほうが、続ける・断るの判断を誤りにくくなります。案件ごとの採算をさらに掘り下げたい場合は、案件ごとの採算を見える化する方法もあわせてご覧ください。

実質時給を下げる「見えない時間」

実質時給を静かに下げるのは、制作以外の時間です。見積もりの段階では意識しづらく、あとから効いてきます。

  • 打ち合わせ・チャットのやりとり — 頻度の高い取引先ほど積み上がります
  • 仕様変更にともなう手戻り — 一度作ったものを作り直す時間は、売上に反映されにくい部分です
  • 修正対応 — 「軽微な修正」が何度も続くと無視できない時間になります
  • 事務作業 — 請求書の作成、入金確認、経費の記録など
  • 待ち時間・段取り — 素材待ち、確認待ちで作業が細切れになると効率が落ちます

これらを含めた累計時間で割り戻して初めて、その案件が本当に割に合っていたかがわかります。先ほどの試算例で業務委託の時給が目減りしたのも、この見えない時間が原因です。

実質時給を上げる4つの方法

実質時給は「売上を上げる」か「時間を減らす」かで改善します。現実的なアプローチは次の4つです。

1. 単価を上げる(値上げ・交渉)

もっとも直接的な方法です。実質時給の数字が手元にあると、「この案件は実質時給2,000円なので、次回から◯円に」と根拠を持って交渉できます。感覚ではなくデータで話せるのが強みです。切り出すタイミングと伝え方はフリーランスの値上げ交渉の切り出し方にまとめています。

2. 作業を効率化する

テンプレート化、素材の再利用、ツールの導入などで制作時間を減らせば、同じ売上でも実質時給は上がります。とくに毎回発生する定型作業は効果が大きい部分です。そもそもの見積もりを目標実質時給から組み立てる方法はフリーランスの見積もりの作り方で解説しています。

3. 割に合わない案件を見極める

すべての案件を続ける必要はありません。実質時給の低い案件は、値上げを打診する、進め方を変える、あるいは更新しない、といった選択肢があります。空いた時間を実質時給の高い案件に振り向けられます。

4. 事務作業の時間を減らす

請求書作成や作業記録などの事務は、仕組みで軽くできます。案件の情報から請求書を自動で組み立てられれば、その分の時間が実質時給に効いてきます。

よくある誤解

単価が高い=稼げている、ではありません。 単価は入り口の数字にすぎず、実際の効率は時間で割って初めて見えます。

「なんとなく忙しい」は判断材料になりません。 忙しさの感覚と実際の採算は一致しないことが多く、記録された数字だけが正確に教えてくれます。

実質時給を記録する仕組みづくり

実質時給は、作業時間をきちんと記録していないと計算できません。とはいえ、あとからまとめて思い出して入力する方法は長続きしません。無理なく続けるには、仕組みで支えるのが近道です。

  • 時間を「その場で記録」する習慣にする — 作業を始めるときに計測を始め、終わったら止める。記憶に頼らず実測が残ります。記録が続かない方は作業時間の記録が続かない人へもあわせてどうぞ
  • 案件単位で集計する — 記録した時間を案件ごとにまとめ、売上と突き合わせます。案件を横断してまとめてしまうと、どの仕事が割に合うのかが見えなくなります
  • 定期的に振り返る — 月末などに実質時給を並べ、低い案件から手を打ちます

いまの自分の水準をまず知りたい場合は、月の売上と作業時間を入れるだけで計算できる実質時給チェッカーが手軽です。そのうえで、こうした記録と集計を手作業で回すのは負担が大きいため、ツールに任せるのも一つの方法です。Freelogue は案件ごとにタイマーで測った時間と確定売上から、実質時給(売上 ÷ 累計時間)を自動で算出します。取引先ごとに実質時給を並べて比較することもできます(取引先別の売上ランキング)。まずは無料で試してみるところから始められます。

数字が見えると、値上げ交渉や案件の取捨選択の判断がしやすくなります。まずは1件、実質時給を測ってみてください。

よくある質問

Q. 実質時給は月ごとに計算すべきですか?案件ごとですか? A. まずは案件ごとに計算するのがおすすめです。案件単位で見ると、どの取引先や仕事の種類が割に合うのかが具体的にわかります。慣れてきたら、月ごとに全案件をまとめて振り返ると、収入全体の効率も把握できます。

Q. 打ち合わせや移動の時間も作業時間に含めますか? A. 含めることをおすすめします。実質時給の目的は「その仕事に自分の時間をどれだけ使ったか」を正確に知ることです。制作以外の時間を除くと、実態より高く見えてしまい、判断を誤る原因になります。

Q. 実質時給が低い案件は、すぐにやめるべきですか? A. 必ずしもそうではありません。取引の継続性や実績づくりなど、金額以外の価値がある場合もあります。大切なのは、実質時給を把握したうえで「続ける・値上げする・やめる」を自分で選べる状態にしておくことです。

Q. 実質時給の目安はいくらくらいですか? A. 万人に当てはまる正解はありません。目安を作るなら、会社員として同じ仕事をした場合の時給や、自分が最低限確保したい生活費から逆算するのが現実的です。フリーランスは税金・社会保険・経費・非稼働の時間を自分で負担するため、会社員の額面時給より高めを目標に置くと安心です。他人の相場より、自分の案件同士を比べて高い・低いを判断できることのほうが大切です。

Q. 時給換算と実質時給はどう違いますか? A. 時給換算は「契約上の時給」や「単価 ÷ 想定時間」で表す、作業前の見込みです。実質時給は実際にかかった累計時間で割った結果で、打ち合わせや修正といった想定外の時間もすべて反映されます。見込みの時給換算が高くても、手戻りが増えれば実質時給は下がります。両者の差は、その案件の見積もりがどれだけ正確だったかを教えてくれます。

Q. 経費は実質時給に含めますか? A. 基本の実質時給は「売上 ÷ 時間」で、経費は含めません。まずは時間あたりの効率を素直に見るのが目的だからです。ただし外注費や素材購入など案件ごとに大きな経費がかかる場合は、売上から経費を引いた粗利で計算すると、より手元に残る実態に近づきます。目的に応じて売上ベースと粗利ベースを使い分けてください。

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